「第二十九回 平家物語の夕べ」にご来場下さいました皆様、ありがとうございました。

国立能楽堂の舞台に演者として立つという、この上なく貴重な体験をさせて頂きました。
こんな機会もうないぞと、舞台上でも舞台裏でもいろんなところをキョロキョロじっくり見ていましたね。

「『子午線の祀り』より」ということで、抜粋したリーディング形式での上演、いかがでしたでしょうか。

今回の能舞台バージョン、3回の稽古と、本番前日の申し合わせ(舞台稽古)で作られました。
一年振りの群読、えらいもので身体にちゃんと前回の感覚が残っていて、早い段階で皆で息を合わせられたし、変更にも対応することができました。
さすが、昨年の稽古、公演の日々は伊達じゃなかったなあと思いましたね。

神保が今回受け持ったソロパートは能登守教経と武蔵坊弁慶、どちらも初めてやらせて頂きました。

特に後半の「能登殿最期」のくだりは昂奮しましたね。
藤舎名生さんがお笛を奏される中、教経としてひとり出てきて台詞を言う、そこへ合の手のように橘政愛さんが太鼓を入れてくださる。
こんな贅沢を、有り難や…」という感じでした。

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↑ 夜公演終了直後に記念撮影。

今回の上演の企画もされた若村麻由美さんは群読の出来にとても喜んで下さいましたし、野村萬斎さんも強い手応えを感じられたようで、うれしい限りです。
この少人数の短縮版ならいろいろなところでの上演の可能性があるね、という話で盛り上がりました。

またいつかどこかでお目にかけられたらいいですね。

第一部の中村吉右衛門さんと若村さんの朗読も、間近で観られてとても勉強になりました。
村治佳織さんの奏でるギターは沁み入るようで、『子午線』では加えてエレキギターで宇宙的なスケール感を作り出されていました。

こんな得難い体験をお仕事としてさせて頂き、役者冥利に尽きます。
人生、地道にこつこつやってるとこんなこともあるんだなあ。
ありがとうございました。