ちょっと待った!は通用しない 〜神保良介Blog〜

役者・神保が身のまわりのことやら自分に起こったことやら考えていることなどを書き綴った、その記録。

カテゴリ: Essay

『子午線の祀り』、全20ステージ終了しました!



座組みのチームワーク、作品、観た方の評判、のすべてがよかった、幸福な公演で、役者をやっていて何年かに一度あるかどうかという幸運な出会いでした。

チームワークの良さは勿論、我らを率いた総大将、野村萬斎さんの存在あってこそ。
萬斎さんは演出して主演して、どれほどのエネルギーが要ることかと思いますが、作品を更に良くしたいと、公演の最後の最後まで修正、変更を行い続けていました。
その強大なパワーに刺激され続け、常に新たな気持ちで舞台に臨むことができました。

しかも、大変な稽古を乗り越えて鍛えられたこの座組み、開演前の変更を受けて柔軟に対応できちゃうのです( たぶん通常そんなことはできません)
これだけ様々な個性、出自、キャリアの集まりなのに統一感を生んだキャスト勢、そして支えて下さるスタッフさんも合わせて、何ともすごいチームでした。

世田谷パブリックシアターは連日満員で、口コミやリピーターで更に来場者が増えて、公演終盤には立見が出るくらいの大盛況、早くも再演希望の声が出ていて、これ以上にやり甲斐のある反応はありませんでした。

実は今作、神保にとって初めての時代物でした。
萬斎さんは我々若手勢に「これで(今回身についたもので)みんな大河ドラマにも出られるよ」なんて言って下さいましたが、様々な方々から沢山教えて頂いたお陰で、拙いながらもやりおおせることができました。

新しい『子午線の祀り』に関われたことを誇りに思います。
またいつかこのメンバーで再会できたら素敵だな。
ありがとうございました!



さて、神保の今後の活動予定は、映像の仕事などがあって、舞台はしばらく先になります。
『子午線』のような大作の次に取り組むものとしてうってつけの芝居。
お知らせできるのは少し先になりますが、よろしければ気にかけてやってくださいませ。


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『子午線の祀り』は残すところ5ステージとなりましたが、ここいらで、この作品における群読以外での神保の主な登場シーンの解説をば(ネタバレあるかも)。


・児玉党(第一幕)
一の谷の合戦で敗走する知盛達を追撃する一群の、大将(と覚しき者)。
昨年のリーディング公演でこの役割を務めており、その成り行きで今回の公演もやらせて頂いてます(昨年も成り行きで自分になったんですが)。
児玉党の登場から平家物語の世界に一気に突入するので、そういった意味では大事な役回りですかね。

・源氏勢(第二幕)
船戦さの訓練を一度もしていないことを心配する「いま一人の武士」。
これもリーディング公演に続きやらせて頂いてます。
ひと言のせりふですけど、この後で景時が義経と言い争う時にこの言葉が口論のネタに使われて慌ててます。

・軍評定(第三幕二場)
壇の浦の合戦で松浦の党を率いて船団第二陣の大将を受け持つ越中次郎兵衛盛嗣こと平盛嗣。
負けが込んでる平家にとって翌日の合戦で存亡が決するとあって、この評定は大将軍の知盛をはじめ全員が気合漲っており、演っていて高揚します。

・壇の浦の合戦(第四幕)
幕開けは盛嗣で第二陣に立っています。
義経の特徴を挙げ連ねて、こいつを倒せと侍たちを煽って士気を更に揚げます。要は外見の悪口なんですけどね。
この味方への煽り、三陣の知盛と景経に始まり先陣の景清へと右肩上がりに盛り上がって来て、最後に二陣の盛嗣に番がまわってくるので、自分のところで昂ぶりが頂点になるよう、全力です。

その後はいつの間にか平家の名も無き侍に変わり、と思っていたら源氏方の侍になって、またいつの間にか平家方になってと、合戦の間はあっち行ったりこっち行ったりしてます。

最後は宗盛を海に突き落とす平家の侍どものひとり。
味方が次々と入水している中でただ茫然としてる平家の宗主が余りに情けなくての行動ですが、海に入った後も沈まずに泳いでる宗盛を見てどう思ったんだろう、このひとたち。


てな感じでやらせて頂いてます。

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↑ 衣裳つきで稽古した日にピース。

さて、公演の終わりが見えてきましたが、実はこの段階に到っても細かいところで演出上の修正、変更が加えられています。
この一週間のうちにも群読の調子や動きなども改良されてます。
もっともっと作品を良くしたいという野村萬斎さんの果てなき野心はすごいです。

更なる進化を目指し、座組み一丸となって千穐楽まで駆け抜けます!
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プレビュー公演から本公演へと舟出した『子午線の祀り』は5ステージを終え、順調に航海を続けています。

芝居中でのフォーメーションの変化や転換の流れにもようやく慣れてきました。
特に第四幕の壇之浦の合戦のシーンは、表も裏もまさに戦場のようですから。
慣れてきた分、精度をもっと高めてゆきます。

楽屋での空き時間に『子午線の祀り』初演以来五度の上演で主役を務められた嵐圭史さん著「知盛の声がきこえる」を読んでます。

嵐圭史さんが1990年の上演の時期に記した作品への取り組み方や戯曲の分析の本で、同じ戯曲に取り組んでいるいまだから特に面白く読んでいます。

この中で紹介されている作者・木下順二さんの発言で、
「せりふを口にする時、演技者自身がその調子を充分に楽しんでもらいたい。また、他の役のせりふも楽しく聞けるようになってほしい。そして(中略)最終的にはリアリティ溢れるせりふにかえってほしい」
というのを読んで、いろいろの段取りにも慣れてきた今にぴったりの言葉だと思い、それからは楽しめる調子ということも意識しつつ演るようになりました。

観たら(聴いたら)すぐわかると思いますが、野村萬斎さんはせりふの音にすごくこだわって演出されています(配役も、特に声質のバランスを重視されて決められています)。
群読を含め劇中の大半の台詞は萬斎さんご自身が稽古の時に一度読んで下さってるので、その時聞いた音を自分なりに再現して喋るようにしています。

ところでこの作品、言葉が難しい、という感想を少なからず耳にしますが、一言一句すべて理解できなくたって、べつにいいんじゃないかと思ってます。

能狂言や歌舞伎だって喋ってる内容が完全にわかってなくても楽しめるのとおなじことで。
古文調の言葉がわからない時でも音色を味わえば楽しめますよ。

というわけで、おかげさまで劇場は連日満員、お客様の反応も頗る良くて、張り切って舞台に立たせて頂いてます。
当日券も毎回発売していますので、ぜひ観てほしいです。
公演はあと2週間。23日まで続きます!


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『子午線の祀り』、三日間のプレビュー公演が終了しました。

3回のプレビューを通じて、世田谷パブリックシアターの空間で平家物語の壮大な世界をお客様と分かち合うということ、そして、壮絶な人間模様を遙か天の高み、宇宙の視座より俯瞰して見つめるという本作の構造を、身を以て理解できたように思います。

そして迎える本公演。
リーディング公演、稽古、プレビュー公演、それぞれから得たものを糧とし、この作品における自分の役割をしかと見据えて臨みます。

群読というスタイルが特徴的な作品で、劇的空間の拡がりの中で、強い身体性に支えられて発される言葉の強度や美しさを、同じ空気の振動を通じて直に伝えることができる、極めて演劇的な表現だと思います。
ぜひ、劇場で体感ください。



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ハードな稽古を重ねています。

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今回自分にとって鍵となっているのが、身体。
昨年のリーディング公演と違って、今度は所作など習得することがいろいろあるし、何より、しっかと舞台に立ち、言葉を発せる身体が必要。ましてや侍の役だし。

所作、動作を集中的に稽古する時間があったんですが、実演してみせて下さる野村萬斎さんの動きの、なんと綺麗で無駄のないこと!
もちろんそんなことは前から判ってましたけどね、自分で同じことを再現しようと思った時に、まあ同じことにならないこと。当たり前か。
あ、全然違う身体なんだな、と改めて思いましたよ。

なので、とにかく普段からそういう身体を意識し続けるのが手っ取り早いので、稽古場の外でもなるべく侍の姿勢でいるようにしてます。多分、ハタから見たらヘンでしょう。


そんなこんなで、稽古開始からひと月が経ち、プレビュー初日まで1週間を切った!

萬斎さんのヴィジョンを実現させる為に、日々新しいやり方を試みてコツコツと作っています。
大規模なプロデュース公演なのに座組みの一体感があって、31人の役者全員がジャンル、キャリアの枠を越えて、一丸となってこの戯曲に挑んでいる、という感じがあります。

いまは、本番を目前に控えて、座組みがワクワクドキドキハラハラしていて、正に新作の初演!
どのような『子午線の祀り』となるか。ご期待ください。

ちなみに、事前知識として、平氏が源氏に追われて都落ちしてから壇之浦の最終決戦で壊滅するまでの大まかな流れを頭に入れておいてから観劇される方が、すんなりお話に入れると思います。


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『子午線の祀り』、チケット好評発売中です!
回によっては残席僅少になってきています。お求めはどうぞお早めに。

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↑ 本チラシも完成‼︎

昨秋のリーディング公演も踏まえた新しい上演を目指す野村萬斎さんの演出の下、皆で試行錯誤を重ね作っていく稽古は時間が経つのがあっという間。
木下順二さんの劇言語や独特の劇構造と格闘する日々を送っています。

そんな稽古に先立つ4月の終わり、作品の舞台となる壇之浦に行ってきました。



リーディング公演時には、どういった土地でどういった情景で合戦が行われているのか、明確にイメージ出来なかったという感覚があったので実際の場所に行きたいと思いまして。

潮風に吹かれて、対岸まで遠くない海峡を走る潮流を眺めながら戯曲を読み、源平合わせて1300艘の船団の合戦を思い浮かべ。
今回の本公演ではそういった体験も生かして演じていきたいですね。

ちなみに、この作品、チラシにも記載されてますが英語翻訳されたタイトルは、
Requiem on the Great Meridian
というのですが、この、Meridianという単語が、子午線という意味のほかに、絶頂、全盛期という意味も。
まさに栄枯必衰の平家物語を描いたこの作品に相応しい…!


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蜷川さんの命日です。一年が経ちました。

当時、蜷川幸雄演出作品で使用された思い出の曲たちのプレイリストをApple Musicで作りましたが、ここに再掲します。サンプルが各30秒ずつは聴けます。




昨日、GEKISHA NINAGAWA STUDIO公演『2017・待つ』を観ました。

僕は『待つ』には2001年と2003年の公演に出演しました。2005年にもやる予定でしたがそれは公演中止になりました。
『待つ』は、出演者にとって、それはそれは苛酷で残酷な公演でした。おかげでだいぶタフになりました。
とにかく必死に、現在(いま)という時代とその中を生きている自分を問い、演劇と格闘しました。

今回の先輩達による14年ぶりの『待つ』を観て、蜷川さんは、自分のところの役者には演技力に加え、構成力や演出力も要求して育ててきたことを、ひさしぶりに思い出しました。
そして、自分もそのひとりとして、しっかりやっていこうと思いました。


「我々の表現に、普遍性と現代性と世界性を!」



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2016年最後の投稿で、「来年はもっとたくさん本を読む、そのためにKindleも買った」と書いたが、有言実行といってもよいだろう。一日の中で読書に割く時間は確実に増えた。殆どは電子書籍で読んでいる。

流石に、取り組まねばならない作品や台本が出てくると読書ペースは落ちるが、今年に入って初めのふた月ほどはかなりの時間を持て余していたため、読書が捗った。

小説、教養、エッセイの三種を並行して読み進める形をとってみたが、これが殊の外自分に合っていた。読んでいて集中が切れてきたら、ひと息入れて別の本に移るとまた集中力が戻ってくる。

小説は、基本的教養としても読んでおきたい未読の世界文学群に、日本の現代の作品、英語力の維持の為に洋書。

教養は、この歳まで疎いまま放置してしまっている分野(近現代史、哲学思想、経済)に関する新書などを中心に。

エッセイは、上のふたつに疲れてきた時のリフレッシュとなる刺激的なものを。

Kindleを購入したのも大きかった。
電子書籍リーダーを得たことで、即入手できる(セールも多い)、本のしまい場所に留意しなくて済む、軽いし眼が疲れない(スマホやタブレットとの大きな違い)、などなど自分にとっての利点が多く、加えてここ数年で電子書籍の数、種類がぐんと増えているため、次々に読みたいものが出てくる。

このブログをPC等でご覧の方には左側サイドバー下部に本棚が見つかると思うが、読み終えた、または読んでいる本は今年に入って二十冊を数えた。
さほどの読書家でもない自分にはなかなかの数字である。
Kindle内に積ん読している本もあるし、この調子でどんどん読みたい。

ただ、そうして読書に没頭しているとその分ネット上の読み物に関心が向かなくなってくるもので、気付けばブログもSNSも長いこと放置してしまっていた。

近くまた舞台の稽古に入るため台本以外の読書が減るのは避けられないが、そんな中でも少しは別の本も読んでリフレッシュできればいいな。

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「祝祭大狂言会2017」で大阪のフェスティバルホールへ行って来ました。


『唐人相撲』、世田谷パブリックシアター公演以来2週間ぶりで最後のステージ。
いやあ、楽しかったです。

申し合せ(舞台稽古)の時には眼前に広がる巨大な客席空間を前に「こんなに広い会場でどのくらい演技のおかしさが伝播するのだろう」などと思ってましたが、見当違いも甚しい。
最初から「おお?」と驚くほどにお客様の反応が大きくて、しかもお話が進むにつれ右肩上がり。
東京でも毎回かなり盛り上がりましたが、流石、大阪のお客様はレベルがちがう!

相撲の取組みの度にドッカンドッカン笑いが起こるわ、拍手が起こるわ、声援が上がるわ。
「次はどんな取組みで楽しませてくれるのか」という期待がキャパ2700の客席から伝わってくるので、こちらだってますますエネルギッシュになる相乗効果。

こんなに大きな会場であっても、こんなにも一体感が生まれることに感動しました。
狂言ってすごい。

終演後、萬斎さんも「今までで一番よかったです」と嬉しそうに仰って下さいました。
ご来場下さった皆様、ありがとうございました‼︎ 最高のラストステージでした。


この『唐人相撲』における神保の役割を書いておきますと、唐人たちの組む人間ピラミッドの土台のひとりとして、相撲取り(野村萬斎さん)に挑んで負かされておりました。
また、相撲取りに投げ飛ばされてきた臆唐(月崎晴夫さん)をキャッチしたり、相撲取りを皇帝から引き離したり(なぜかこの時だけは相撲取りが簡単に動かされる)と、狂言師の方との接触が多めでした。

しかし何といっても極め付けは、皇帝役の野村万作さんを、唐人達が騎馬の形で担ぎ、去っていくというラスト。
重要無形文化財保持者こと人間国宝が、神保の両肩を摑まれ、神保の左右の手に足を掛けられ、神保の真上でセリフを発される、息づかい、鼓動が伝わる。
客席からはお客様の、舞台からは一門のお弟子さん方のまなざし。
そしてこちらは(というか全員そうですが)よく滑る足袋を履いているのです。
これほどまでに稀有で、畏れ多くて、おっかない騎馬体験があるでしょうか。
何事もなく無事に全公演が終わって、心底安堵したのでした。


⬇︎ 装束の下に着る胴着、万作の会の倉庫に眠っていたものをお借りしましたが、神保が使わせて頂いたのはなんと。

先の稿で今回の出演を、「狂言への短期留学」というふうに書きましたが、そのたとえで続けるならば、留学した国の受け入れ先がとてもよくして下さり、自国にはない素敵な体験をたくさんすることが出来ました。
そして、その国が自分にとって以前より身近で好きな存在となりました。

現代劇の役者として、今回この公演に参加させて頂けた幸運と感謝は、どれだけ書いても足りません。
願わくはまたいつか、お祝いごとのある時に『唐人相撲』がやれますよう。
再見 再見 一路平和 (ツァイチェン ツァイチェン イールーピンアーン)。  


⬇︎ 世田谷パブリックシアターの公演ページにて舞台写真がアップされました。素敵ですよ。
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「狂言『唐人相撲』/『MANSAIボレロ』」、全3ステージ終了しました!


連日満員で立見まで出る盛況ぶりでした。ありがとうございました。
でも、そりゃそうですよね、自分が出ていなかったら絶対客で観に行ったと思いますもん。
賑やかに華やかに、世田谷パブリックシアター開場20周年をお祝いした三日間でした。

『唐人相撲』は、お祝い事のある時に上演される曲だと聞いていましたが、本番をやってみてなるほど、と。
拍手が起きたり、手拍子をしたり、客席も一緒になって「ホーチャ!」という唐音の掛け声をあげたりと毎回盛り上がり、劇場に祝祭的な空気が生まれていました。

開演して最初に素囃子がありましたが、それがすごい迫力で舞台袖からでも圧倒されましたし、袖での演奏も間近で見られて感動しました。

『MANSAIボレロ』は、客席から観たかったなあ。
舞台稽古では客席で見学させて頂きましたが、本番の萬斎さんの気迫は楽屋のモニターからもはっきり違いがわかるほどに別ものでした。

世田谷パブリックシアター、主劇場の舞台に立ったのは今回が初めて。
観客として、2階、3階からでも舞台が観やすくて好きでしたが、演者としても客席の空気が伝わりやすく一体感があって(特に今回は張り出し舞台でしたし)、ますます大好きな劇場になりました。
20周年記念プログラムはこの先1年続くので楽しみです。


さて、『唐人相撲』はあと1回やります。
4月22日(土)に大阪のフェスティバルホールで行われる「祝祭大狂言会2017」にて、トリの曲として演じられます。
キャパが、世田谷パブリックシアターの4倍以上もあるホールで、大阪のお客様の前で、どんな『唐人相撲』になるのかな。
楽しみです。


田口恵介さん、渡部直也さんと。
唐人武官役の中でも神保の付け髭はかなり立派なので、着てる装束が写ってないや。


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