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蜷川幸雄「千のナイフ、千の目」(紀伊国屋書店)

高校生の時に紀伊國屋の演劇コーナーでふと手にとり購入した本。
当時は演劇部に入っていた。

その時は著者がどんな人なのかよく知らなかった。
文章はエネルギッシュで知的で格好よくて屈折していて、繰り返し読んだ。
本の中で語られる数々の舞台は、どんなものだったのだろうと夢想した。

大学に入って、演劇をやるつもりだったのだけれどしっくりくるサークルがなくて結局なにもせず、一年間、かわりに劇場にたくさん足を運んだ。

その著者の演出作品も4本観た。
小劇場での無名の俳優たちとの公演、英国俳優を演出したシェイクスピア作品、新作戯曲を作者と同時期に異なる演出で上演した話題作、4本目の舞台を観に行った時にはオーディションのチラシを見つけた。

のちにカンパニーの一員になってわかったのだが、オーディションでは毎回、書類審査はせず、応募者全員の演技を見て合否を決めていた。
今になって考えれば、書類で落とすことをしないから、自分みたいな何の経歴もない学生にもチャンスがあったわけだ。

そうして、紀伊國屋で本を手にとってから約2年後、実物と出会った。
課題のシーンを演じ終わると、「学生しながらやれるか?」と笑顔で声をかけられた。
びっくりして「はい、できます」と答えた。

自分の芝居の出来なんてまだ判断できなかったから「ひょっとしてよかったのかな?」と思った。
数日後、合格の連絡が来た。

結果、この著者からの影響で自分の大部分は形成されることになった。

あれから今年で20年になる。

今日は蜷川幸雄さんの命日です。