『ザ・モニュメント 記念碑』再演、全10ステージ終了しました!

いまの気分は正直、やり遂げたとか達成感とかよりも、安堵です。
3人だけで準備、稽古、三都市での公演、怪我も病気もなく千穐楽を無事に終えられて、本当に良かった。

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↑ ひめゆりピースホールではこんな感じの設えで上演しました。会場に据え付けの後ろの棚を敢えて隠さずむきだし。ギャラリーで行う公演に近い感覚だったような。


今回の再演の企画、那覇公演をやるというのが、目を引いたところだったのではないでしょうか。
沖縄に外から演劇公演がやって来る、というのはあまりないそうです。
そんな那覇での2ステージ、やれてよかったです。やった甲斐はありました。

大阪とも東京ともちがう反応が来るだろうことは何となくは予想していましたが、上演して、沖縄のお客さんにとって戦争、軍隊、兵士による暴力というのは、決して他人事でないのだろうと演じながら感じられました。

この芝居は幕開け、神保が演じたステッコという元兵士が戦時中に自分達がした行為を長々と語るのですが、客席に対面して喋り始めてあまり時間が経たないうちから、お客さんからの嫌悪感や緊張感が自分(が演じている人物)へ向けられているのがわかりました。

東京でも大阪でもそういう空気はないことはないですが、那覇の上演でははっきりと、強く感じられました。
いまも身近に起き得る、起こっていることなのだということを終演後に教えてくれたお客さんもいました。

そんな緊張をはらんだ空気で始まったのですが、最後まで熱心に舞台を観て下さり、芝居のパワーを楽しんで下さり、この作品の描くテーマや問題提起をそれぞれに感じ取って頂けたようでした。

全ステージ終わってみて、もし那覇での公演がなかったなら、今回の再演の企画に対する自分の気持ちというか思うところは、だいぶ違っていたのではと思います。

那覇公演にも、たくさんの素敵な方々が力を貸してくださいました。
その方達が協力してくれたからこそ、実現できた公演でした。
ほんとうに、ありがとうございました。
観に来て下さった皆様も、ほんとうにありがとうございました。

沖縄は、神保は初めてだったんですが、ハードな公演でもありましたし、遊んだりはしなかったですし、見て回ることもできなかったですが、それでも温かい人たち、美味しい食べ物に触れ、空気や時間の流れを感じることができました。
今度、プライベートで訪れてのんびり過ごしたいと思ってます。

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↑毎ステージのロウソクの準備は大体神保がやってました。

この戯曲は僕が見つけてきて、上演できないかと持ちかけて、翻訳したものですが、べつに、「この作品を通してこういうテーマを、メッセージを伝えたい」というような意識があったわけではなく、優れた手強い戯曲で、演じてみたい役があったから、という動機からのスタートでした。

ありがたいことに多くの人に観ていただけて、たくさんの感想を伺うことができました。
いろんな感想や意見を聞くことができましたが、うまく整理できないでいる、という印象の方が多かったように思えました。
この作品が、答えの出ない、でも、考えて、向き合わなければならないことを描いているからだと思います。
だから、「観終わった後、各人の中にうまく処理できない何かが残れば、この芝居はうまくいったということなんじゃないか」と考えるようになりました。
そして、この再演はうまくいったのではないかと思っています。

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この作品、まず初演がうまく実現したことがものすごい幸運の重なりでしたが、こういう形で再演がやれて、またまたものすごい幸運の上重ねをしてしまいました。
共演の西田夏奈子さん、演出の川口典成くんに感謝。この2人が神保の誘いに乗ってくれたからこそ、二度も面白い芝居が作れて、たくさんの得難い経験ができました。

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ありがとうございました!