1997年。
映画館に通ううちに演技というものに興味を持ち、高校で演劇部に入って初めて演劇の世界の存在を知った時期。

現代演劇を知る為にはプロの舞台を観ることだ、と考えた神保少年は、新聞や雑誌の記事を頼りに(何しろどれを観たらよいやらさっぱりですから)、東京の劇場に何ヶ月かに一度のペースで通うようになりました。
そこで強烈な観劇体験をしました。

第三舞台『朝日のような夕日をつれて'97』

パルコ・プロデュース『君となら Nobody Else But You'97』

この2作品を観て、衝撃を受け、芝居というものに夢中になったわけです。
数え切れないくらい演劇を観てきたいま冷静に振り返っても、なんと幸福な原初体験だったんだろうと思います。

多感な時期に演劇なんてものに触れ、その上こんな優れた芝居に出会ってたら、そりゃあなた、その後の人生、狂わされますよ。
観た後は軽く1週間は衝撃が消えず、余韻に浸ってました。

そんな思い出の二作品がいま、奇しくも再び上演されているのです。
どちらもあの時以来、17年ぶりの上演。

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KOKAMI@network『朝日のような夕日をつれて2014』。

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パルコ・プロデュース『君となら Nobody Else But You』。

もちろん観にいきました。

「そうそう、これ!」という、自分の原点と再会した、その懐かしさは格別でした。
そして、2014年の現在に再び作品の有効性を問おうとする、作り手の気迫もビシビシ感じました。
その渾然一体となった空気がなんとも言えない観劇体験でした。

『朝日のような夕日をつれて』、最高!
『君となら』、本当に面白い!

しかしどちらの公演も原初体験を上回ることはありませんでした(そんなことは不可能でしょう)。

でも、17年前、劇場の客席に座っただけで観る前から始まっていた高揚感、ひさしぶりにその名残りのようなものを少しだけ思い出すことが出来、あの頃からいまに至るまでのいろんなことも思い出すことが出来、もっと先へと進んでいこうと決意を新たにしたのでした。まる。