国会を見ていると、たまに「この人たちは真剣な振りしてその実、遊んでいるのではなかろうか」と思うときがある。
と今回は何やら挑戦的な物腰で書き始めてしまったが、僕が注目しているのは、どうしても意見の一致を見なかったり、納得いかなかったときに議員さんらが出る行為である。
例えば、議論がエスカレートするあまり乱闘がおきるってどうなのだろう。野球の試合じゃないんだから。議会っていうのは、暴力に訴えれば政治が動く、なんてことにならないためにあるんじゃなかっただろうか。

今日の朝日新聞の、衆院厚生労働委員会での社会保険庁改革関連法案に関する記事。
そこには(強行的に)採決をしようとする委員長を阻止すべく、4、5人の野党委員たちが彼の口を手でふさいでいる写真が載っている。
写真には正に、
「えーそれでは、本法案への採決をんぐふがっ」みたいな瞬間が捉えられているのである。

誤解しないでほしいのは、僕は年金をめぐる諸問題についてあれこれ言えるほど精通していないが、それでも十分に議論を尽くした上で法案を通してほしいと思っているし、意見を交わす議員さんたちが真摯に国や国民のことを考えてくれているのもそれなりに感じられてくる。
だが、それにしてはやってることが大人気なくはないかということだ。
僕は政治に詳しくはないので、もしかしたらそういった行為にはパフォーマンス的な側面で何か重大な効果があったり、または、「どうにも意見が通らなかったときの最終手段として委員長の口をふさげ」という伝統が歴代の議員さんたちの間で脈々と受け継がれているのかもしれない。それはわからない。

まあ、委員長の口をふさいだ野党議員さんたちも、そんなことで本当に採決が阻止できるとはおそらく思ってないだろう。しかしいくら強行採決だとしても、「これから何か発言しようとする人の、口を、ふさぐ」というのは冷静に考えてちょっとどうだろう。少なくともそんな行為に及ぶには、国会という場はあまり似つかわしくない気がする。
そのような行為はむしろ、
「あのねー、里美が好きな男子の名前はね……」
「も〜う、だめだったらぁ〜」
とか、
「いいか、声を出すんじゃないぞ、わかったな。逆らえば命はないものと思え」
みたいな状況でこそ効果を発揮すると僕は思っている。

しかし、やはりこれからも議員さんたちによるそういった「ちょっとどうだろう」的行為を、我々は度々目撃することになるのだろうし、そういった行為をたまには期待してみる人も少なからずいることと思う。
それならいっそのこと、もっとバリエーションを与えてみてはどうか。
数人で取り囲み、くすぐってみるとか。
「では、本法案への採決をとりゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ!」
口をふさぐよりは実力行使の臭いがしない。とりあえずその場の空気は変えられる。
あるいは、自分の耳に手を当てたり離したりをすばやく繰り返しながら、
「うわああああああああああああああああ! 聞こえないもんねええええええ〜!」
大勢で実行すれば案外迫力があっていいかもしれない。
もしくは、床に寝転がってじたばたしながら、
「ひ〜ん! やだやだやだ〜! そんなのやだ〜! 買って買って買ってえええええ!」
最後の方は意味不明だが、これを見た未来の有権者達からは共感を得られるだろう。

なんてことを書いてるとふざけていると思われるかもしれないが、僕はけっこう真面目だ。
その点では、委員長の口をふさいだ野党議員さんたちと同じである。