最近よく、携帯ゲーム機で遊びながら歩く人を見かける。自分にとってはいろいろな面で理解できない人たちである。
子どもならまだ話は分かる。のめりこんでしまうと、自分を律することがまだ難しい年齢だ。
しかし、どっからどうみても成人であることには何の疑いもない人が真剣な眼差しでゲーム機の画面とにらめっこしつつ、人の波をかいくぐっていくのは、並みならぬ意気込みを感じる。そもそも、いい大人が歩行中にまで行わねばならないほどのゲームとは一体どのようなものなのだろうか。
だってよそ見してたら危ないじゃない。
そう思ってしばらくその人の行く先を目で追ってみることもあるが、しかし、彼らの多くは躓いたり、人にぶつかったり、自転車に目の前で急ブレーキをかけられたり、ましてや車にはねられたりといった被害を受けない。周りの状況も一通り把握しているようである。
そんな人に対して僕は、感心し、ちょっと羨みもする。

場面変わって、彩の国さいたま芸術劇場の情報プラザ(建物の1階部で、ミニライヴなどが行われる場所でもある)は、吹き抜けを中心に円形の広場のようになっていて、大きな太い柱がその周囲を囲んでいる。
以前、そこでちょっとよそを見ながら歩いていたら、柱にかなりの勢いで激突した。
その場所に行ったことのある方なら分かっていただけると思うが、見落とそうにもなかなかむずかしい大きさの柱に気づかず直進し、顔面をぶつけたのである。
いやあびっくりしたやら痛かったやらだったが、何よりもそんなところでそんなものにぶつかってしまった自分に笑った。周りに人がいなかったのがせめてもの救いだった。
そんな体験を持つ僕にとって、上に挙げたような人たちは、特殊能力を持つに等しいのである。