芝居もよく観るが映画もよく観る。映画館でも自宅でも。
ことばが直接理解できるから日本語か英語の作品を観ることが多いが、面白そうな映画、クオリティの高そうな映画であれば、製作国やジャンルを問わず、何でも観る。
好きな映画はたくさんあるが、好きなジャンルみたいなものは特になく、傾向もバラバラ。
そんな僕が好きな映画の系統のひとつに、「よくしゃべっている映画」というのがある。

たとえば、ウディ・アレン監督作品にはよくしゃべる人物がよく登場する(アレン本人がそういう役を演じることが多い)。クエンティン・タランティーノ監督作品の登場人物も、まあしゃべって、しゃべって、しゃべくり倒している。
ロマンス映画での僕の一番のお気に入りは、リチャード・リンクレイター監督『恋人までの距離』とその続編『ビフォア・サンセット』だが、これもとにかく男女二人がずっとしゃべっている作品である。

しかし、よく喋れば何でもよいということではなくて、台詞や会話のやりとりが面白いもの、テンポ、スピードが小気味よいものでなければならない。早口も好き。
その点、上に挙げた作品群は、どれも台詞がいいし、俳優も見事にしゃべりこなしていてほれぼれする。
とどのつまり、僕はしゃべり言葉にとても興味がある人間なのだ。
これは最近に始まったことではなくて、子どもの頃には、落語名作集をよく読み、『男はつらいよ』シリーズでの渥美清さんの語り口調や啖呵売が大好きで、早口言葉では校内で右に出るものはいなかった。これまたちょっとヘンな子である。

演劇にも興味を持ったのも、こういう子どものときからの興味にちょっと関係しているのかもしれない。芝居は基本的には会話で展開していくから、そういう点ではもってこいなわけだ。
そういや舞台を映画化した作品も、当たり前だが、よくしゃべっている。

あ、もちろん、喋ってばかりの映画だけが好きなわけではなく、静けさや、風景描写、ちょっとした仕草が雄弁に物語っているような映画も好みである。
そんな僕本人はあんまりおしゃべりではないんだけど。